業務監査の準備、何から手をつければいいか分からない—そんな不安はありませんか?
近年の監査では、形式確認にとどまらず、リスクや統制の視点が求められます。現場任せの対応では通用せず、対応内容の“見える化”と“優先順位付け”が重要です。
本記事では、「業務監査でやること」を3つのステップで整理し、実効性ある対応方法を解説します。
事業所監査で「やるべきこと」が見えにくい理由と整理の視点
なぜ今、「何から手をつければいいのか」が分かりづらくなっているのか
「事業所監査のやることがよくわからない」ー現場からよく挙がる声のひとつです。 かつての監査は、あらかじめ決められたチェックリストをもとに、書類を整え、運用状況を確認し、指摘事項をまとめるという比較的シンプルなものでした。
しかし現在では、「ルールの順守確認」から「リスクの事前発見」や「組織改善のきっかけづくり」へと目的が広がり、確認すべき範囲が一気に拡大しています。この変化により、現場では「方向性の不明確さ」からくる戸惑いが生じています。
たとえば:
- ESGって見ないといけないの?
- リスク評価ってどこまでやるの?
- そもそも、何を準備しておけば足りるの?
こうした声はいずれも、“どこまでやればいいのか”が曖昧なまま準備を進めなければならない不安の表れです。
さらに、監査対応を“業務の一部”としている企業では、ノウハウが属人化していたり、前任者のやり方をそのまま引き継いでいたりするケースも多く、結果として改善余地の見えにくい対応が繰り返されています。
今求められるのは、「全体像の見える化」と「自社に合った優先順位の再定義」です。リスクを軸にした“意味のある準備”への切り替えが、現場の実効性を高める第一歩です。

曖昧な準備を避けるために:資料・情報・関係者の洗い出し
事業所監査の準備でまず戸惑うのが、「何を揃えればよいのか分からない」という課題です。監査に必要な資料を整えるにあたっては、「どこまで、どの深さで、何の目的で」という点を自ら見極めなければなりません。特に明確な監査マニュアルが社内にない場合、前年のフォルダをコピーして形式だけ整えるような対応になりがちです。しかしこれでは本質的なリスクや改善点が埋もれてしまいます。
- 組織図・人員体制表
- 業務マニュアル・フロー図
- 過去の監査指摘と対応状況
- 実績帳票(日次・月次)
- 外部委託先との契約・報告資料
これらの資料は単に「出すため」のものではなく、監査の意図に応じて整えるべきものです。たとえば人員体制表なら、属人化の有無や業務継続性を明示できるよう補足資料が必要です。また、マニュアル類は現場運用と一致しているかを事前確認しておくことが欠かせません。関係者の洗い出しも重要です。現場責任者・実務担当・外部パートナーなど、「誰が何を把握しているか」を見通しておくことで、監査当日の混乱を防げます。
“前年踏襲”から脱却するための業務の可視化
形式的な対応を脱却するには、業務の可視化が不可欠です。
- 業務フローを文書化し更新管理する
- 書類と業務の関係を一覧化する
- 関係者の役割分担を明確にする
これにより、監査当日も「誰に、何を、どの順で確認すべきか」が見え、再提出などの無駄も減らせます。
「リスク視点」で進める監査準備:優先順位をどうつけるか
限られたリソースでも効果的に動くための“優先順位”の考え方
事業所監査の準備を進める中で、「何から取りかかればいいのか分からない」「資料は山ほどあるのに、どれが重要なのか判断できない」と感じることは少なくありません。
とくに、複数の部門・業務にまたがる監査では、すべてを完璧に対応するのは現実的ではなく、“やることの優先順位”をつける視点が不可欠です。
その判断軸となるのが「リスク評価」です。つまり、「業務が止まると重大な影響がある」「法令違反につながる可能性がある」「過去にトラブルがあった」といった観点で、業務や情報の“重要度”と“影響度”を見極めることが鍵になります。
たとえば以下のような整理が有効です:
- 業務影響の大きいプロセスから着手する(例:顧客情報を扱う対応業務)
- 過去に指摘や是正が入った項目を重点的にチェック
- 監査人が注目しそうなトピック(法令対応、外部委託など)を優先
以下は、リスク視点で整理した項目例です:
| 項目分類 | 優先度 | 具体的な対応業務 | 対応の目的 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 顧客情報の管理 | 高 | 個人情報の取り扱い手順確認 | 法令対応(個人情報保護法) | 外部委託がある場合は要確認 |
| マニュアル管理 | 中 | 最新マニュアルの整備状況 | 実態との乖離の防止 | 業務フローとの整合性も確認 |
| 業務分担 | 中 | 業務の属人化チェック | 継続性リスクの評価 | 担当者の異動リスクを考慮 |
| 委託業務管理 | 高 | 委託先との契約・報告の確認 | ガバナンス・説明責任の確保 | 実施状況と成果物も含める |
| 備品・資産管理 | 低 | 備品リストと管理フローの確認 | 内部統制の精度確認 | 必要に応じて抽出対応 |
このように、対応すべき項目を“リスク起点”で整理することで、現実的かつ効果的な優先順位を設定できます。
現場に潜む“兆し”に気づく視点を持つ
「リスク」と聞くと大げさに感じるかもしれませんが、監査で注目されるのは、実は日常業務のちょっとした“兆し”です。とはいえ、監査の専門家ではない担当者にとって、抽象的な「リスク」では行動に移しづらいのも事実です。
そこで有効なのが、「自社の業務や環境において、どんな“兆し”がリスクにつながりやすいか」を具体的に洗い出すアプローチです。以下は、その一例です:
- 業務の属人化が進んでいる
⇒ 特定の担当者しかわからない手順や判断基準が多い
⇒ その人が不在時や異動時にミス・遅延が発生するリスク - 更新されていないマニュアルやフロー
⇒ 実際の業務と乖離があり、現場判断に頼る運用が定着
⇒ 業務ルールが不明瞭で、不正やトラブルの温床になる可能性 - 外部委託があるが、契約管理や成果物チェックが曖昧
⇒ 委託先に業務を任せきりで、責任の所在が不明確
⇒ 万一の事故・クレーム時に、自社が説明責任を果たせない
こうした違和感こそが、監査における注目ポイントです。「今のやり方で大丈夫か?」「誰が担当しているか分からない」—そんな声が上がる業務は、優先的に確認しておくべきです。

優先項目を定めたあとにやるべき「具体アクション」と考え方
リスクの兆しをつかみ、重点的に確認すべきポイントを見極めたら、次は“どう動くか”の整理が必要です。実際には監査項目すべてに完璧に対応するのは現実的ではありません。だからこそ、ここでも“割り切った対応”と“伝え方の工夫”が鍵になります。
まず重要なのは、「やらないこと」をあえて明示することです。
たとえば、「この分野は現在再構築中で、業務フローが整理されていません」や「外部委託先の情報は定期報告書ベースでしか取得できない」など、対応が困難な領域についても、現状を正直に説明できるよう準備しておくことで、信頼感を損ねずに済みます。
次に、対応範囲を決めたら、「準備する情報」と「関係者」の洗い出しを具体化しておくことが欠かせません。前章で述べたように、監査当日に「この件は○○さんじゃないと説明できない」といった事態が起きないよう、事前の社内連携を重視しましょう。
さらに、できれば“どうしても手が回らない部分”には第三者の視点を活用することも検討の価値があります。
たとえば、過去の監査報告をもとに「自社だけでは抜け落ちやすい観点」をチェックしてもらうだけでも、準備精度は大きく変わります。 リスクベースの監査対応は、完璧さを求めるのではなく、限られたリソースで「最も意味のある対応」を選び抜くことがポイントです。事前整理と判断のプロセスこそが、監査対応の“質”を決めるのです。
限られたリソースで監査の質を守るには—支援という選択肢
すべてを社内で完結しないための「分ける」視点
監査対応の準備・実行には、想像以上に多くの時間と労力がかかります。特に人手や知見が限られる中小規模の組織では、「すべてを社内で対応する」のは現実的ではありません。ここで有効なのが、「何を自分たちでやり、何を支援やツールに任せるか」という“分ける視点”です。
たとえば、
- 優先順位の判断や社内調整 → 内部
- 情報の整理や資料の整形 → 外部やツール
といったように、判断や戦略は内部、定型的・技術的な部分は外部という形で、役割を意識的に切り分けていくことで、監査対応全体の質を落とさずに進めることが可能になります。

「必要以上に頑張らない」ための、柔軟なリソース設計
「去年はなんとかなったから、今年も同じように乗り切れるはず」
そう思って、つい無理を重ねていませんか?でも実際には、監査対応の質を左右するのは、“がんばった時間”ではありません。
本当に重要なのは、「何を整理し、どう判断したか」というプロセスです。人材の経験値、業務の複雑さ、監査の焦点によって、必要なリソースは毎年変わります。そのため、「必要なときに、必要な手を借りる」という考え方を前提にした“柔軟な設計”が重要です。たとえば、新任担当者が多い年には、監査の目的や対象業務を丁寧に説明する手間が必要になりますし、逆にメンバーが固定化されている年は、前年との差分や改善点に集中する設計が効果的です。
「何が一番のリスクか」「そのためにどこに手をかけるべきか」
その優先度に応じて、使えるリソースを柔軟に設計することが、過度な負担を防ぎ、監査の質を保つ鍵になります。
「全部自分たちで」は難しい——支援という選択肢
とはいえ、限られた体制で日々の業務と監査対応を両立させるのは、やはり簡単なことではありません。「どこから手をつけるべきか分からない」「準備物の整備や優先順位づけに時間がかかる」「チェックはできても、可視化・整理が追いつかない」そんなとき、一部を外部の視点や手段を借りるという選択肢も視野に入れてよい時代です。
たとえば、近年では
- 資料の洗い出し・整理
- ヒアリング準備や関係者リストの整備
- 課題の可視化や報告内容の標準化
といった領域で、専門的な支援を活用する企業も増えています。
実際、私たちのように「ただの作業代行」ではなく、監査対応全体の質を底上げする伴走型の支援を提供しているBPO(業務支援)サービスもあります。
「できないから外に出す」のではなく、「質を保つために、プロの視点を部分的に取り入れる」。このバランス感覚が、これからの監査対応において重要なスタンスとなっていくでしょう。
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