【尊敬語「言う」完全ガイド】ビジネスですぐに実践できる方法を解説 

ビジネス敬語

ビジネスの現場では上司やクライアントに対して正しい敬語を使うことはとても重要で、信頼関係の基盤となります。しかし、新入社員の方や敬語に不安を感じている方は多いはず。 特に「言う」の表現は尊敬語と謙譲語を混同しやすかったり、二重敬語にしてしまったりなど、無意識のうちに誤用しがちです。
本記事では「言う」の尊敬語の正しい使い方や、ビジネスでの具体例、注意点について詳しく解説していきます。 

「言う」の尊敬語とは?基本をマスターしよう

尊敬語・謙譲語・丁寧語の違いを理解する

「言う」の尊敬語は「おっしゃる」「言われる」で、目上の人の行動を高める表現です。 上司が主語になる「部長がおっしゃるには〜」などの場面で使用します。 
 
一方、謙譲語は「申す」「申し上げる」で、自分の行動をへりくだることで相手を立てる表現です。 例えば「私から社長に申し上げておきます」のように使います。 

ただし、組織内での上下関係や社内コミュニケーションでは、場合によって「ご報告いたします」「お伝えいたします」といった表現も用いられることがあります。 状況や相手との関係性に応じて柔軟に使い分けるようにしましょう。 

 また、丁寧語である「言います」は、基本的な「です・ます」調の表現で、誰に対しても使える汎用性があります。 
 
これらを適切に使い分けることがビジネスコミュニケーションの基本です。例えば、上司の発言は「おっしゃる」、自分の発言は「申し上げる」、一般的な表現は「言います」と区別して考えると、より理解しやすくなります。 

「おっしゃる」と「言われる」の正しい意味と使い分け 

前述の通り、「言う」の尊敬語には主に「おっしゃる」と「言われる」があり、これらは目上の方の発言に対して敬意を表す際に使用します。 
 
「おっしゃる」は最も一般的な「言う」の尊敬語で、より高い敬意を示したい場面で適しており、特に公式な場面や上司、お客様との会話で重宝します。 
 
一方「言われる」も尊敬語ですが、「おっしゃる」よりもやや敬意を表しにくい表現です。例えば 「社長が言われたことを確認しました」というように使えます。 

「言われました」と「おっしゃいました」の適切な使い分け 

「言われました」と「おっしゃいました」は、一見似ていますが、使う場面が大きく異なります。 
 
「言われました」は尊敬語ではなく、単に事実を伝える表現です。主語は「私」などの聞き手側になります。例えば「社長から、明日の会議に出席するよう言われました」という使い方をします。 
 
一方、「おっしゃいました」は「言う」の尊敬語で、目上の人の発言内容を伝える際に使用します。主語は発言者である目上の人です。例えば「部長が、この企画は中止するとおっしゃいました」と使います。 
 
ビジネスシーンでは、上司やお客様の発言を伝える際に「言われました」を使うと失礼に当たる場合があるため、相手への敬意を示すべき場面では「おっしゃいました」を選びましょう。適切な敬語の使い分けが、円滑なコミュニケーションと信頼関係構築の鍵となります。 

「言う」の尊敬語を実践で使いこなす

上司との会話で使える「おっしゃる」の例文集 

上司との会話において「おっしゃる」を適切に使用することは、ビジネスコミュニケーションの基本であり、様々な場面で活用できます。 

1.新入社員が上司からの指示内容を確認するとき:
「先ほど会議のなかでお客様がおっしゃったプロジェクトの締め切りはいつでしょうか」
→尋ねている相手に対し、適切な敬意を示すことができます。

2.会議の場で上司の意見に賛同するとき:
「課長のおっしゃる通りです。私も彼が適任だと考えています」
→相手の発言内容を尊重しながら、自分も同じ考えであることを示すことができます。 

ビジネスメールで使える「言う」敬語使用例

ビジネス文書においては、メールや議事録など、各シーンに応じた表現を使い分けることが重要です。 例えば、先方へのメールでは、以下のように使うことができます。 

【例文】 
株式会社○○
□□様

いつもお世話になっております。
株式会社△△の〇〇と申します。

先日はお忙しい中、貴重なご意見を賜り誠にありがとうございました。 
□□様がおっしゃる内容につきまして、特に納期の件で再調整が必要と感じております。 
早速、関連部署と協議の上、具体的な改善案をご提示させていただく所存でございます。 

つきましては、今週中に再度ご連絡させていただきたく存じますが、ご都合の良い日時などございましたらお知らせいただけますと幸いです 

何卒ご確認のほど、よろしくお願い申し上げます。 

ビジネスメールにおいてこのような細かな配慮をすることで、受け取る側に誠実な印象を与えることができます。 

電話応対での「言う」敬語使用例

電話での対応では、相手の言葉を繰り返すときなどに「〇〇とおっしゃいましたでしょうか」と確認すると丁寧です。お客様が「言った」という際には、「おっしゃいました」と言うようにしましょう。 

例えば、電話対応では以下のように使うことができます。  

例文
顧客
顧客

 「以前、お電話でお話しさせていただいた件について詳しく話したいのですが…」 

受付担当
受付担当

「承知いたしました。先日お客様がおっしゃいました件について担当の者に確認いたします。少々お待ちいただけますでしょうか。」 

また、「おっしゃいました」の他に、「先日お伺いいたしました○○の件でございますが…」のように「お伺いした」を代わりの表現として使うこともできます。 

このように、電話での応対においては、相手の発言を確認する際に「おっしゃいました」や「先日お伺いいたしました~」といった表現を用いることで、相手に対しての敬意が自然と伝わるでしょう。 

よくある「言う」の尊敬語の間違いと対策 

二重敬語や誤用に注意

「おっしゃられる」という表現、ビジネスシーンでよく耳にするかもしれませんが、実はこれは二重敬語であり、正確な敬語表現ではありません。この表現は「おっしゃる」という尊敬語にさらに尊敬の助動詞「られる」を重ねた形になっています。 
 
「おっしゃる」だけですでに「言う」の尊敬語として十分な敬意を表しているため、「部長がおっしゃられるとおりです」は誤りで「部長がおっしゃるとおりです」が正しい表現です。 
 
ビジネスの場で信頼を獲得するためには、このような細かな敬語の使い分けも大切です。「おっしゃる」を正しく使うことで、相手に対する適切な敬意と言葉の正確さを同時に示すことができます。 

また、もう一つ気をつけるべきなのが、「申される」という表現です。「申す」は謙譲語であるため、「先ほど申されたこと」ではなく「先ほどおっしゃったこと」と表現するのが正しいでしょう。 

二重敬語や誤用は敬意を示そうとして逆に不自然になる典型的なパターンの一つです。正しい使い方を理解して、誤った使い方をしないように注意しましょう。 

「言う」の尊敬語を正しく使い分けるために 

「言う」の尊敬語や謙譲語は混同しやすい表現の代表例です。正しく理解して、スムーズなコミュニケーションを目指しましょう。 

「おっしゃる」は日常的なビジネスシーンから文書まで幅広く用いられるため、まずは確実にマスターしておきたい尊敬語です。「言われる」などを使う場合も、相手や状況に合わせて過剰にならない程度に使い分ける姿勢が必要となります。 

一方で、謙譲語の「申す」「申し上げる」は自分側の発言を減じる表現であるため、上司や取引先への確認や報告など、目的に応じて正しく使い分けていきましょう。 

間違えやすい二重敬語や誤用を避けるには、実際の会話や文章作成の中で繰り返し確認することが大切です。本記事を参考に正確な敬語を習得して、信頼されるコミュニケーションスキルを身につけてください。 

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